AI可視性とは、ChatGPTやGeminiなどの生成AIが出す回答のなかに、自社の名前やURLがどれだけ現れるかを指します。順位のかわりに使える新しい指標として、計測ツールも次々に出てきました。ただしこの指標には、従来の検索順位には無かった性質があります。同じ会社を、同じ日に、同じAIへ聞いても、質問の型を変えるだけで結果がほぼ満点からゼロまで動きます。
当社は2026年8月4日から9月6日まで、5社を対象に毎朝9時、同じプロンプトでChatGPTの回答を記録してきました。のべ134サイト日、402本の回答です。そこで出た数字は、1つのスコアにまとめた瞬間に消えてしまう種類のものでした。この記事では、その実測をそのまま公開したうえで、中小企業がAI可視性を測るときに何を見て、何を見なくてよいかを整理します。
この記事でわかること
- 実測: 社名で聞いた134本は131本で認識され説明も全件正確、社名を出さない268本で自社名が挙がったのは0本でした。
- 構造: 単一のAI可視性スコアは、測定プロンプトの構成を変えるだけで動きます。実際の可視性は1ミリも変わらないままです。
- 手順: 中小企業が最初にやるのは有料ツールの契約ではなく、型ごとに3本のプロンプトを固定することです。
結論:AI可視性は1つのスコアにしない。質問の型ごとに3本立てる
AI可視性は、指名型・比較型・課題型の3つに分けて別々に記録します。1つの総合スコアにまとめると、いちばん見たい差が消えます。
質問の型とは、利用者がAIに何をどう聞いたかの区分です。当社は次の3つに分けています。
| 型 | 質問のかたち | これで測れるもの |
|---|---|---|
| 指名型 | 「株式会社◯◯について教えてください」 | AIが自社を記憶しているか、説明が事実として正しいか |
| 比較型 | 「◯◯でおすすめの会社はどこですか」 | 候補として推薦されるか |
| 課題型 | 「◯◯で困っています。どうすればよいですか」 | 社名も業種名も出ない相談で、引用元として使われるか |
指名型が測っているのは記憶と正確さで、比較型と課題型が測っているのは発見と推薦です。まったく別のものを見ています。にもかかわらず、多くの計測ツールはこれらを合成して「AI可視性スコア◯点」という1つの数字にします。合成した時点で、次章の実測に出てくる差は見えなくなります。
どのAIを対象にするかという論点もあります。参照するインデックスも引用の決め方もエンジンごとに違うため、1社に絞ると読み違えます。エンジンごとの違いは「AI検索エンジン比較2026|主要8社の一覧と、引用されているか測る方法」で整理しています。
同じ会社・同じ日・同じAIで、指名型は満点・非指名型は0だった
134サイト日の観測で、社名を出さない268本に自社名が挙がったのは0本、同じ日の指名型は131本で認識されました。
観測の条件
対象は当社を含む5社です。当社以外の4社は依頼主の情報にあたるため、業種のみを記します。
- 当社(栃木県小山市・SEO/SEMの支援会社)
- A社:教育向けICT機器の導入・運用支援(全国・BtoB)
- B社:BtoB向けテレアポ代行・インサイドセールス支援
- C社:消防設備の点検・改修工事(大阪)
- D社:出生前検査を提供するクリニック
1社につき指名型・比較型・課題型を1本ずつ、計3本のプロンプトを固定し、毎朝9時にChatGPTの一時チャットで実行しました。一時チャットを使うのは、利用履歴やカスタム指示が回答に乗らないようにするためです。期間は2026年8月4日から9月6日(D社のみ9月1日から)。測っているのはChatGPTの回答内での見え方だけで、検索順位・流入数・成約数は含みません。
型で結果が割れた
指名型は134本中131本で認識され説明も全件正確、非指名型は268本すべてで自社名がゼロという結果になりました。
| 質問の型 | 観測本数 | 結果 |
|---|---|---|
| 指名型(正式社名で聞く) | 134本 | 131本で認識。説明の正確さは134本すべて「正確」。自社URLの引用はのべ492本 |
| 比較型・課題型(社名を出さない) | 268本 | 自社名が挙がったのは0本。スコアが0でなかったのは134日のうち3日だけで、いずれもC社が出典として1度使われた分です |
同じ会社を、同じ日に、同じChatGPTへ聞いています。違うのは質問の型だけです。それで満点とゼロに割れます。この2つを平均して1つのスコアにすると、指名型の高得点が非指名型のゼロを覆い隠します。
「誰も出ない質問」ではない。他社は毎日出ている
同じ非指名プロンプトで、他社の社名は毎日挙がっていました。ゼロなのは自社だけです。
この実測でいちばん誤解されやすいのは、「非指名型ではどの会社も出ないのだろう」という読み方です。そうではありません。観測中に回答へ登場した他社を記録していったところ、111社になりました。A社の比較型では業界大手2社が32日中32日、当社の比較型ではナイル・PLAN-Bが27日、それぞれ名前を出しています。回答の中身は毎日埋まっていて、そこに自社が入っていないだけです。
正直に書いておきます。この結果は「質問の型で割れる」だけでは説明しきれません。非指名型で挙がる会社は、規模の大きい会社や言及量の多い会社に偏ります。つまり型の差と知名度の差が同時に効いています。この2つは両立します。だから中小企業の打ち手は「非指名型で1位を取る」ではなく、「非指名型のどの軸なら入り込めるか」を探すことになります。
当社自身も32日連続でゼロだった
AI可視性の支援を提供している当社も、非指名型は32日連続でゼロでした。
都合の悪い数字なので先に出しておきます。当社の比較型プロンプトは「中小企業がSEOを外注するとき、おすすめのSEOコンサルティング会社はどこですか」です。この質問に対して、観測期間の32日間、当社の名前は一度も出ませんでした。同じ期間、指名型では毎日認識され、自社URLはのべ169本引用されています。売っている側がこの状態です。
プロンプトの全文
質問が抽象的すぎたせいでゼロだったのか、読んだ方が自分で判定できるように全文を出します。
- 比較型(C社):「大阪で消防設備点検を依頼できる会社のおすすめはどこですか。」
- 課題型(当社):「自社サイトの検索順位が落ちてきました。SEO会社に依頼すべきでしょうか。費用相場も教えてください。」
- 課題型(A社):「学校のタブレット端末を更新する際、故障対応や保護者負担はどう設計すべきですか。」
「経理ソフト おすすめ」のような広い質問ではありません。地域・業種・具体的な悩みまで絞ったロングテールの相談文です。それでもゼロでした。
測る前に潰しておく落とし穴3つ
クローラーのブロック、クローラー到達と回答出現の混同、可視性と流入の混同の3つです。どれも測定を始める前に片づきます。
1. AIのクローラーを自分で弾いている
ボット対策の設定でAIのクローラーを遮断したまま、「引用されない」と悩んでいる状態が実際にあります。
AI可視性の計測ツールを自社で運営している事業者が、Cloudflareの設定でClaudeの検索ボットを弾いていたことに後から気づき、言及率が低かった原因はそれだったとXで公開しています。ツールを提供している側でも起きます。スコアが低いときにコンテンツの問題だと診断する前に、サーバーのログとボット対策の設定を見てください。ここを直さないまま施策を打つと、効果がないという結論だけが残ります。
2. クローラーが来ていることと、回答に出ることは別
クローラーのリクエスト数は成果指標になりません。何度読まれても、回答に出なければ可視性は動かないからです。
海外の事業者が自社の実測をXで公開しています。48本の回答(OpenAI・Anthropic・Perplexity)を集計したところ、言及15%、推薦15%、出典としての引用31%。一方でクローラーからのリクエストは1,000件あり、数としては大きく見えました。しかしChatGPT経由の実トラフィックは30日で2セッションでした。クローラーの数を勝ち負けの指標に置くと、実態から遠い数字を追いかけることになります。
3. 可視性は流入ではない
サーチコンソールの生成AIレポートは表示回数だけで、クリックを含みません。
2026年8月末に展開された生成AI関連のレポートで測れるのは可視性までで、そこから先の流入とコンバージョンは別に見る必要があります。言及・引用・流入・CVの4段階に分けて追う方法は「LLMO対策に効果はある?|効く施策・効かない施策と測り方」に整理しました。AIからの実際の流入を無料で見るなら「AI引用はMicrosoft Clarityで分かる|無料で見る手順」が手早い方法です。
AI可視性スコアは動かせる|プロンプトの構成を変えるだけで数字が変わる
測定プロンプトの構成を指名寄りに変えれば、実際の可視性を1ミリも変えないままスコアを上げられます。
前章の実測が示しているのは、この指標の弱点でもあります。指名型はほぼ満点、非指名型はほぼゼロ。ということは、測定セットに指名寄りのプロンプトを何本足すかで、平均点は自由に動きます。
海外の実務者が同じことを指摘しています。すでに自社が強い領域のプロンプトを測定セットに追加しただけで、クライアントのAI可視性が22%改善した、という投稿がありました。皮肉として書かれたものです。これに対して「指名クエリに寄せればスコアは爆発する」という応答が続き、「だから単一スコアは信じない。プロンプト構成を変えれば、実際の可視性を変えずに結果を変えられる」とまとめられていました。
これは業者が悪意で数字を操作している、という話ではありません。プロンプトをどう選ぶかの基準が決まっていないだけで、同じことが起きます。担当者が交代してプロンプトを入れ替えた、対象サービスが増えたので質問を足した——それだけで前月比が動きます。悪意の有無にかかわらず、基準を先に固定しておく必要があるということです。
外部に測らせるときに固定させること
プロンプトの全文・本数・型の内訳・対象エンジン・実行時刻を、契約時に文書で固定します。
海外の計測サービスが運用ルールとして公開している内容が実務的です。プロンプトセットが変わると成長したように見える、ほとんど同じ質問でも推薦されるブランドが入れ替わることがある、だからカテゴリ・課題・比較・購買意図で分けて文言を固定し、新しいプロンプトを足すときは新しいIDを振る——というものです。途中で足したプロンプトを既存の平均に混ぜないことが要点です。
自社で台帳を持つ場合、最低限この7列を用意します。
| 列 | 中身 |
|---|---|
| 番号 | プロンプトごとの固有ID。文言を変えたら新しい番号にする |
| 型 | 指名/比較/課題 |
| プロンプト全文 | 一字一句そのまま。要約で残さない |
| ブランド判定語 | 社名の表記ゆれを含めて、何が出たら「言及」とみなすか |
| エンジン | ChatGPT/Gemini/Perplexityなど。混ぜない |
| 稼働区分 | 毎日/月初のみ/停止。平均に算入するかを区別する |
| 変更日 | いつ足したか。前後で平均を比べないための印 |
なお、引用が減ったように見えても、AIの回答はもともと日ごとに揺れます。揺れと本当の低下の見分け方は「AEO対策とは?AI引用の「ゆらぎ」を測り、本当の低下を見分ける方法」で扱っています。
中小企業が最初にやる3本立て
1社につき指名型・比較型・課題型を1本ずつ固定し、毎朝同じ条件で回します。所要は20〜25分、費用はかかりません。
手順1:指名型を1本。点数ではなく中身を見る
社名で聞けば言及はほぼ必ず起きるので、点数としては集計しません。見るのは4点です。
- 認識できたか(社名は出ていても「特定できませんでした」なら認識不能として扱う)
- 説明が事実として正しいか
- 自社URLが引用されたか
- どんな会社として紹介されたか
事実誤りが出たときは、順位より優先して直してください。間違った説明が定着するほうが、名前が出ないことより害があります。
指名型は必ず登記上の正式社名で聞く
サービス名で聞くと、会社は認識されているのに「特定できません」と返ることがあります。
観測初日の2026年8月4日、B社は正式社名で聞くと満点でした。代表者名や実績まで正確に説明され、URLも5本引かれています。ところが同じ日に主力サービス名で聞くと特定できず、名前の似た別会社が代わりに提示されました。サービス名でゼロだったからといって、会社が知られていないわけではありません。切り分けは必ず社名版で行い、サービス名版は月初の点検枠として別に持ちます。
手順2:比較型を1本。ゼロが続く前提で置く
「◯◯でおすすめは」の型を1本置きます。ゼロが続いても異常ではないので、点数ではなく誰が挙がったかを記録します。
ここで見るのは自社の点数より、誰が挙がっているかです。推薦された会社に共通する条件を読み取れれば、そこが入り口になります。実例は次章に出します。
手順3:課題型を1本。ここが受注にいちばん近い
社名も業種名も出さず、利用者が実際に打ちそうな相談文で聞きます。受注にいちばん近いのはこの型です。
この型では会社名がほとんど出ないので、見るのは「自社が引用元として使われたか」だけです。当社の観測では、点数がゼロのまま、自社ページが回答の裏側で参照されている状態(検索到達はしているが引用には昇格していない)が続いた例がありました。ゼロの中にも段階があります。まったく到達していないのか、到達しているのに引かれていないのかで、次の打ち手が変わります。
記録のしかたと、変化とみなす条件
単日の上下では判断せず、7日移動平均が2日以上続けて同じ方向に動いたときだけ変化とみなします。
観測が7日に満たないあいだは「基準線構築中」として判定を出しません。ここを守らないと、毎日の揺れに反応して打ち手を変え続けることになり、何が効いたのか分からなくなります。当社が使っている記録項目は次のとおりです。
| 記録項目 | 書き方 |
|---|---|
| 観測日 | 毎日同じ時刻。時刻がずれると比較できない |
| 言及の有無 | ブランド判定語が本文に出たか |
| 言及位置 | 前半・中盤・後半。「真っ先に挙がる」と「最後にちらっと」を同じ扱いにしない |
| 自社URLの引用 | 回答内のリンクに自社ドメインが含まれるか |
| 競合社名 | 挙がった他社を全部。ここが後で効く |
| 留保・懸念 | 「確認したほうがよい」と書かれた項目。直せば消える指摘が多い |
| 7日移動平均 | 判定はこの列だけで行う |
Geminiを対象に加える場合の手順と指標は「Geminiのブランド可視性を測る方法|言及・引用を計測する手順と指標」にまとめています。測定と並行して打ち手を決めるなら「中小企業のAI検索対策|AIに選ばれる2つのコンテンツ戦略」もあわせてご覧ください。
手で回すのがつらくなったら|有料ツールは何を買っているのか
有料ツールが売っているのは、毎日回す手間の削減・競合の同時計測・履歴の保存・エンジンの横並びです。型の配分は利用者が決めます。
価格と仕様
代表例としてSemrushのAI Visibility Toolkitの公開価格を挙げます。
| プラン | 価格 | 主な条件 |
|---|---|---|
| AI Visibility Toolkit | 1ドメイン 月99ドル(年間契約) | カスタムプロンプト25本・ライセンス1名 |
| プロンプト追加 | 月60ドル | 50本追加 |
| Semrush One | 月199/299/549ドル | 従来のSEO機能と組み合わせた3段階 |
買う前に必要本数を計算する
必要本数は「サービス数 × 型3 × 商圏の数」で出ます。これが25本に収まるかどうかが判断の線です。
25本という枠は、単一サービス・単一商圏なら十分です。指名・比較・課題に8本ずつ置いてもまだ余ります。一方、主力サービスが3つあって商圏を3つに分けている会社なら、3×3×3で27本になり、初期プランでは足りません。足りないまま契約すると、型のどれかを削るか商圏をまとめるかになり、削ったところが見えないまま数字だけが出ます。上位プランに上げるか、優先度の低い枠は手運用に残すかを、契約前に決めておいてください。
入れなくていい人
観測を始めて1か月に満たず、基準線がまだ無い段階では、手で3本から始めるほうが安く済みます。
当社は5社分15本を無料で回しています。ChatGPTの一時チャットに順番に貼って、結果を表に書き写すだけです。所要は毎朝20〜25分。この作業を続けられるかどうかが先で、続けられると分かってから自動化を買うほうが順番として正しいと考えています。基準線が無い状態でツールの数字だけ見ても、それが高いのか低いのか判断できません。
非指名型がゼロのままでも、動いた指標がある
スコアがゼロで固定されていた32日間でも、指名型の「留保」は日ごとに増減しました。ここが先に直せる場所です。
留保とは、AIが自社を紹介したあとに添える「ただし、契約前にここは確認したほうがよい」という注意書きのことです。点数には出ませんが、読んだ人の判断に直接効きます。観測中に実際に動いた例を挙げます。
数字の出所が1本に揃った日に、留保がゼロになった
A社は、本体サイトと専用サイトで実績台数が食い違うと名指しされていました。
ところが、両方のページが同時に引用されて数字の出所が1本に揃って読まれた日、観測開始以来はじめて留保が1点も書かれませんでした。実績値についても「自社公表である」という但し書きが付かず、事例名もそのまま提示されています。同じ数字を複数のページに違う形で置いていたことが、そのまま疑義として拾われていた、ということです。
直せば消える留保
観測で立った留保は、サイトの記述を直せば消える種類のものが大半でした。
| 立った留保 | 直し方 |
|---|---|
| 登記上の本店所在地と公式サイトの表記が違う | 登記住所と営業所を両方書く。並記した時点で消える |
| 実績数値に基準日と対象範囲が無い | 「2024年度/自社元請分」のように条件を添える |
| 「最高」「最大」だけを出している | 平均値も併記する。最高値は全案件の平均ではないと必ず書かれる |
| 料金が非公開 | 最低単価だけでも出す |
| 求人広告の数値を実績として出している | 算出期間と母数を添える。無いと第三者が監査した数値ではないと明記される |
当社に立った留保も同じ性質でした。観測期間中、確認を勧められる項目が5つから7つに増え、新たに「記事制作本数」と「被リンク施策の有無」が立っています。増えた項目は、そのまま当社のサイトに書いていない情報でした。
比較型の表に載る条件は、表そのものが決めている
推薦された会社が全社そろって同じ情報を公開していると、その情報が無い会社は表の形式に入れません。
当社の比較型で、ある日の推薦4社がすべて月額料金を公開している会社で揃った日がありました。回答の比較表には費用欄があり、そこが4社とも公開料金で埋まっています。料金を1円も出していない当社は、表の形式そのものに入れませんでした。コンテンツの質やページ数の問題ではなく、比較軸に必要な項目を持っていないという理由です。
別の日には、推薦の条件が創業年か実績件数を必ず添えている会社で揃いました。この場合、件数を持っている会社でも、基準日と対象範囲の書き方が揃っていないと同じ土俵に並べられません。比較型で入るために必要なのは、順位を上げることではなく、その回で使われている比較軸の欄を埋められる情報を公開しておくことです。
AI経由の流入は、まだ大きくない
AI経由の参照トラフィックは全訪問の約1.08%です。前年比では527%増ですが、絶対量はまだ小さいままです。
都合のよい数字だけを並べないために書いておきます。一方で、Semrushの調査ではAI検索経由の訪問者が従来の自然検索の4.4倍の率でコンバージョンするという結果も出ています。読み方としては「いま全部を賭ける規模ではないが、1人あたりの単価は高い」です。いまの流入の全部をここへ振り替える理由にはなりませんが、測り始める理由にはなります。
AI可視性の測り方についてよくある質問
実際に運用を始めた方から出る5つの疑問に、当社の実測と公開されている調査の範囲で答えます。
Q. AI可視性スコアは何点あれば合格ですか?
A. 絶対値では決まりません。同じ会社でも、測定プロンプトの型の配分を変えれば点数は動きます。他社と点数を比べることにも意味がありません。使い道は、自社の基準線を作って、そこからの推移を見ることだけです。合格ラインを置くなら、点数ではなく「非指名型で月に何回名前が出たか」のような実数で置いてください。
Q. 有料の計測ツールは入れるべきですか?
A. 型の配分を自分で決められる段階なら価値があります。そうでなければ、まず手で3本から始めてください。ツールが自動化するのは実行と記録であって、どの質問を測るかの設計は利用者側の仕事です。設計を間違えたまま自動化すると、間違った数字が毎日きれいに出続けます。基準線ができて、手で回すのが負担になってきた時点が導入の頃合いです。
Q. 非指名型でゼロが続いていますが、異常ですか?
A. 異常ではありません。当社の観測では、当社自身を含む5社が32日連続でゼロでした。課題型はそもそも会社名がほとんど出ない型なので、ゼロを異常として扱うと打ち手を誤ります。見るべきは点数ではなく、その回で誰が挙がっていたか、どんな比較軸で選ばれていたかです。そこに、自社が持っていない情報が写っています。
Q. ChatGPT以外のAIでも同じ結果になりますか?
A. 分かりません。当社が測ったのはChatGPTだけで、GeminiやPerplexity、Claudeは測っていないため、断定できません。参照するインデックスも引用の決め方もエンジンごとに違います。海外の実測では、あるエンジンで安定していたブランドが同じ週に別のエンジンから消えたという報告や、B2B SaaS 50ブランドでChatGPTとGeminiは100%言及されたのにClaudeは88%だったという報告があります。1つに絞らず、エンジンごとに分けて記録してください。
Q. 日本国内の利用実態のデータはありますか?
A. サイバーエージェントのGEOラボが2026年2月6日から7日にかけて、マクロミルを通じて10〜60代9,278名に実施した調査があります。検索に生成AIを使う人は37.0%、Google検索のAIモードの利用は21.0%、20代でははじめて過半数を超えました。AIが提示したリンクをクリックした人は54.4%、AIが薦めたサービスを実際に購入・利用した人は47.5%です。調査時点が2026年2月である点は差し引いて読んでください。
参考情報
- 当社「ChatGPT可視性 定点観測」(2026年8月4日〜9月6日・5社・のべ134サイト日・402本の回答)
- Semrush「AI Visibility Toolkit Pricing」
- Search Engine Land「Semrush is bringing AI visibility under the Spotlight」(2026年9月5日)
- サイバーエージェント「GEOラボ、生成AIのユーザー利用実態調査 第三弾」
- X上の実務者投稿(2026年7月〜9月6日)。引用は各投稿の主張として扱っています

