ドメイン貸しとは?2026年8月のGoogle変更点と貸す前の判定手順

ドメイン貸しとは?2026年8月のGoogle変更点と貸す前の判定手順

ドメイン貸しとは、自社サイトのサブディレクトリやサブドメインを第三者に使わせ、そのドメインが積み上げてきた検索評価を借りて上位表示させる行為です。2026年8月28日、Googleはこの行為を規制する「サイトの評判の不正使用」ポリシーの運用を更新し、8月30日から欧州経済領域(EEA)の内と外で手動対策の効き方を分けました。日本はEEA外なので、扱いはこれまでと変わりません。この記事では、公式発表で何が変わって何が変わらなかったのかを整理したうえで、貸していないつもりの企業が引っかかる場面と、貸す前に確認すべき点を実務の手順に落とします。

この記事でわかること

  • 日本への影響: 今回の変更は欧州向けの運用調整で、日本の検索結果での扱いは従来どおりです。
  • 判定基準: Googleが人手レビューで見る4つの要素が公開され、これは地域を問わず適用されます。
  • 貸す側の負担: ドメインを貸すと、貸した先を監視し続ける管理業務が自社に発生します。
目次

ドメイン貸しとは何か

ドメイン貸しとは、自社ドメインの一部を第三者に使わせ、その評価を借りて上位表示させる行為です。

貸す側は使っていないURLの区画を提供して収入を得ます。借りる側は、自分で一からサイトを育てる代わりに、すでに検索エンジンから信頼されているドメインの上にページを置きます。同じ内容でも、新しい独自ドメインに置くより上位に出やすくなる。そこに値段が付いた、というのがこの取引の中身です。

ドメイン貸しとサブディレクトリ貸しの違い

貸し出すURLの単位が違うだけで、Googleのポリシー上の扱いはどちらも同じです。

呼び名は貸す場所によって変わりますが、判定されるのは「第三者のコンテンツが、ホストサイトの評価を借りる目的で置かれているか」の一点です。どの形で貸しても、この目的に該当すればポリシー違反として扱われます。

呼び名 貸し出す単位 URLの例
サブディレクトリ貸し ドメイン直下のフォルダ example.co.jp/loan/
サブドメイン貸し ドメインの前に付けた区画 loan.example.co.jp
ドメイン貸し 上記の総称として使われる 両方を含む

技術的には、サブドメインのほうが本体と別サイトとして扱われやすいと言われてきました。ただし今回公開された判定基準を読むと、区分けの技術的な方式ではなく、実際にどう見えるかで判断されます。URLの切り方で回避できる話ではありません。

パラサイトSEO・寄生サイトとの関係

どれも同じ行為の別名で、Googleの公式名称は「サイトの評判の不正使用」です。

借りる側から見た呼び名が「パラサイトSEO」「寄生サイト」、貸す側から見た呼び名が「ドメイン貸し」「サブディレクトリ貸し」です。英語圏では site reputation abuse と呼ばれ、Googleのスパムポリシーには2024年3月に明記されました。検索するときの語は違っても、指しているものは1つです。

Googleは「サイトの評判の不正使用とは、ホストサイトにおいて、基本的にファーストパーティのコンテンツによってすでに確立されたランキング シグナルを利用することを主な目的として、そのサイトにサードパーティのコンテンツを公開する行為」と定義しています。この定義は日本語版のスパムポリシーにも掲載されています。

なぜドメイン貸しが広がったのか

新規ドメインを育てる時間を買えるうえ、貸す側にも遊休資産の収入になるためです。

検索で上位を取るまでの期間が長くなるほど、既に評価されているドメインの価値は上がります。日本では2022年前後から、新聞社系メディアやクリニックのサイトでこの形が広がりました。貸す側にとっては、使っていないURLの区画が毎月の収入に変わる話に見えます。

当社の事例では、クライアント企業がドメイン貸しの提案を受けたケースが複数あります。いずれも内容を確認したうえでお断りいただきました。理由は後述する管理負担と、本体サイトまで巻き込むリスクが、提示された賃料に見合わないためです。

Googleのポリシーは何を禁じているか

第三者のコンテンツを載せること自体ではなく、ホストの評価を借りる目的が違反です。

ここを取り違えると、外部ライターの記事もゲスト寄稿も全部だめだという話になってしまいます。Googleは「サードパーティのコンテンツを使用しているというだけでは、サイトの評判の不正使用に関するポリシーに違反したことにはなりません」と明記しています。問われるのは目的と統合の度合いです。

スパムポリシーの中での位置づけ

Googleウェブ検索のスパムポリシーに並ぶ違反行為のひとつとして規定されています。

2024年3月、Googleは期限切れドメインの不正使用、大量生成されたコンテンツの不正使用と並べて、サイトの評判の不正使用をスパムポリシーに追加しました。同年5月から手動対策の運用が始まり、11月にはホスト側の関与の有無を問わず対象になる旨が明確化されています。今回の2026年8月の更新は、この積み重ねの上にあります。

違反になる例とならない例

読者が予想しない分野の第三者ページは違反、編集責任が明示されていれば違反ではありません。

Googleは公式ドキュメントに両方の例を挙げています。実務で使えるように、日本の企業サイトでよく起きる形に置き換えて並べます。

扱い Googleが挙げる例 日本の企業サイトでの形
違反 教育サイトが第三者の短期ローン紹介ページをホストし、同じページが他サイトにも配信されている 士業・学校法人のサイトに、金融比較の記事群が別区画で入っている
違反 医療サイトが「最高のカジノ」の第三者ページをホストしている クリニックのドメイン下に、診療と無関係な比較サイトが置かれている
違反 ホワイトラベル業者が提供するクーポンをニュースサイトが載せ、載せる主な理由がその評判の利用である 自社メディアのクーポン枠を丸ごと外部に任せ、編集が一切関与していない
違反ではない コラム、意見記事、その他の編集記事 外部の専門家に依頼した寄稿で、著者と編集責任が明示されている
違反ではない ユーザー作成コンテンツを想定して設計されたサイト 口コミ欄・フォーラム・コメント機能
違反ではない 適切に処理されたアフィリエイトリンクの使用、第三者の広告枠の埋め込み 記事内の商品リンクに適切なrel属性を付けている

境目は「誰のためにそのページを置いているか」です。読者に届けるために置いているなら編集記事、検索順位のために置いているなら不正使用、という切り分けになります。

2026年8月30日に何が変わったのか

EEA内では手動対策の影響が外れ、日本を含むEEA外では従来どおり効きます。

Googleは2026年8月28日、検索セントラルブログでこの運用変更を公表しました。欧州委員会との協議を経た調整であること、デジタル市場法(DMA)の過度な適用への懸念を持っていることも、あわせて記載されています。

同じ手動対策でも、検索する人の地域で結果が分かれる 手動対策が適用される Search Consoleに通知が届く EEA外の検索者(日本・米国など) 該当部分の検索結果に直接影響する サイトの他の部分は影響を受けない これまでと同じ EEA内の検索者 手動対策の影響は適用されない 該当区画を本体から分離して扱う 罰ではなく分離

日本(EEA外)はどうなるか

変わりません。違反と判断されれば、これまでどおり該当部分に手動対策が効きます。

Googleの記載は「EEA外のユーザーに対しては、サイトの評判ポリシーに基づく手動対策が、影響を受ける部分の検索結果に直接影響する。従来どおり、サイトの他の部分は影響を受けない」という内容です。日本で検索する利用者に表示される結果は、今回の変更の対象外です。

EEA内はどうなるか

罰を与える代わりに、該当区画を本体から切り離して独立に評価する方式へ変わります。

手動対策の影響そのものは適用されず、該当セクションはGoogleのシステム上で本体と分離され、時間をかけて別々に順位が付くようになります。Googleはこれを、同じ性質のコンテンツ同士で公平に競わせるための措置だと説明しています。

貸す側から見ると、これは救済ではありません。分離されるということは、本体ドメインの評価を借りられなくなるということです。罰がなくなる代わりに、貸す商品そのものの価値が消えます。

変わっていないこと

ポリシー本体、Search Consoleへの通知、再審査リクエストの仕組みは維持されています。

手動対策が適用された場合、サイト所有者にはこれまでどおりSearch Consoleで通知が届きます。誤りだと考える場合は再審査リクエストを送ることができ、対象となるサイトは再審査リクエストのあとに調停へ持ち込む機会も設けられました。禁止行為の中身が緩和されたわけではありません。

自社サイトが該当するか判断がつかない方へ

ゲスト寄稿や外部制作の比較記事、提携先の枠が、第三者コンテンツとしてどう見えているか。実際のURL構造と中身を確認したうえで、直すべき箇所があるかどうかをお伝えします。

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Googleが見ている4つの要素

見せ方、品質の差、著者の明示、他サイトとの重複の4点を組み合わせて判断されます。

今回の更新にあわせて、Googleは人手レビューで見る客観的な要素を公開しました。重要なのは、この記述に「このレビューは世界的に適用される」と明記されている点です。手動対策の効き方はEEAの内外で分かれますが、判定の基準そのものは日本にも適用されます。

要素 Googleが見ること 自社で確認する方法
見せ方 デザイン、書式、書体、UIが本体サイトと一貫しているか 本体のページと該当区画を並べて表示し、別サイトに見えないか確認する
品質の差 本体には無い品質上の問題がその区画にあるか 誤字、根拠のない断定、薄い内容が該当区画だけに出ていないか読む
著者の明示 所有と責任の所在が明示されているか。表示された著者に矛盾がないか 著者名、編集責任者、提携先の表記があるかを1ページずつ確認する
他サイトとの重複 同一またはほぼ同一の内容が他の複数サイトにも出ていないか 特徴的な一文を引用符で囲んで検索し、他ドメインに同じ文が無いか見る

Googleは、このうちどれか1つだけで判断が決まることはないと明記しています。状況によって重みが変わり、他の材料も加味されます。逆に言えば、4つのうち3つを満たしていても、残る1つが決定的に悪ければ問題になり得ます。

日本語版のスパムポリシーは、2026年8月30日時点でこの4要素の記述を含んでいません。日本語のドキュメントだけを見ていると、判定基準が公開されたこと自体に気づけない状態になっています。

ドメインを貸すと管理業務が自社に来る

貸した先が適切に運営しているかを監視し続ける業務が、貸主側に発生します。

ここが最も見落とされます。賃料の話だけで判断すると、契約後に自社側の工数が増えていることに気づくのが遅れます。区画を貸した時点で、そのURLの下にあるものは自社ドメインのコンテンツです。

貸主に発生する確認業務

内容の適法性、更新状況、他サイトとの重複を、貸している間ずっと見続けます。

具体的には次のような確認が続きます。どれも一度やれば終わりではなく、相手がページを追加・更新するたびに発生します。

  • 掲載内容が薬機法・景品表示法などに触れていないか
  • ペナルティの対象になる手法(不自然なリンク、自動生成、無断転載)が使われていないか
  • 放置されて情報が古くなっていないか
  • 同じ文面が他社サイトにも配信されていないか
  • 問い合わせや苦情が来たとき、誰が答えるのか決まっているか

当社の事例では、この管理業務の存在を認識しないまま提案を検討していたケースがほとんどでした。月々の賃料と、これらを継続的に確認する人件費を並べると、多くの場合は割に合いません。

契約面で確認すべきこと

掲載内容の責任、即時削除の権利、損害が出たときの負担の3点を必ず定めます。

一般論として、ドメインの一部を貸す契約では、掲載物の内容について外部から責任を問われる相手は、原則としてドメインの保有者です。表示上は第三者のコンテンツでも、URLは自社のものだからです。契約書で相手方の責任を定めていても、それは当事者間の取り決めであって、検索エンジンの評価や第三者からの請求を止めるものではありません。

確認項目 定めていないと起きること
掲載内容の最終責任と事前確認の範囲 見ていないページの内容について、自社が説明を求められる
問題があったときの即時削除の権利 手動対策の通知が来ても、契約期間中は消せない
本体サイトに損害が出たときの負担 本業の流入が落ちた分を、誰も補填しない
契約終了後のURLの扱い 大量の404が残る、あるいは相手の誘導先が残り続ける

契約条件の細部は個別の事情によって変わります。実際に締結する前に、弁護士など専門家の確認を受けてください。ここに挙げたのは、SEOの実務から見て抜けやすい項目です。

貸していないつもりでも該当する場面

ゲスト寄稿、外部制作の比較記事、提携先の枠は、条件しだいで第三者コンテンツになります。

ドメイン貸しは「売った・買った」の話だと思われがちですが、ポリシーの文面は取引の有無を条件にしていません。自社サイトに他者が作ったものを載せている企業は、程度の差はあれ全て射程に入ります。

自社サイトの第三者コンテンツを判定する 自社の社員以外が作ったページがあるか ↓ ある 編集が内容を確認し、責任を明示しているか している していない 編集記事として扱われる 著者と編集責任の表記を ページ上で確認できる状態にする 第三者コンテンツとして見られる 4要素で点検し、統合するか 外へ出すかを決める ※取引の有無は条件になっていない。無償の寄稿でも判定は同じ

自社サイトの点検手順

第三者が作ったページを洗い出し、4つの要素に沿って1区画ずつ見ていきます。

順番に進めれば、社内の担当者だけでも一次判定はできます。所要はサイト規模にもよりますが、数十ページの企業サイトなら半日程度です。

  1. site:自社ドメイン でインデックスされているURLを一覧にする
  2. そのうち、自社の社員以外が作ったページに印を付ける
  3. 印を付けたページを本体のページと並べ、見せ方が揃っているか見る
  4. 著者名と編集責任の表記が入っているか、1ページずつ確認する
  5. 特徴的な一文を引用符で囲んで検索し、他ドメインに同じ文が無いか調べる
  6. Search Consoleの「手動による対策」レポートを開き、通知が来ていないか確認する

より広くサイト全体の状態を見るなら、Webサイト診断のやり方で解説している脆弱性チェックや構造の確認とあわせて行うと、抜けが減ります。

手動対策を受けたときの対処

Search Consoleで内容を確認し、該当箇所を直してから再審査リクエストを送ります。

通知はSearch Consoleの「手動による対策」レポートとメッセージセンターに届きます。慌てて関係ないページまで削除すると、本体の流入まで落とすことになります。まず対象範囲を特定してください。

  1. 「手動による対策」レポートで、対象となっているURLの範囲を確認する
  2. 該当区画を非公開にするか、編集責任を明示して本体に統合するかを決める
  3. 他サイトにも同じ内容が出ている場合は、その配信を止める
  4. 直した内容と再発を防ぐ運用を記載して、再審査リクエストを送る

Googleは、対象となるサイトは再審査リクエストのあとに調停へ持ち込む機会も得られるとしています。ただし、これは異議を申し立てる手続きであって、違反状態のまま解除される仕組みではありません。

ドメイン貸しに関するよくある質問

本編で触れなかった周辺の疑問をまとめます。

Q. 2026年8月の変更で、日本でもドメイン貸しが解禁されたのですか。

A. いいえ。変わったのは欧州経済領域内の検索結果での手動対策の効き方だけです。日本はEEA外なので、違反と判断されれば従来どおり手動対策が適用されます。ポリシーの禁止内容そのものも変わっていません。

Q. サブドメインで貸せば、本体サイトへの影響は避けられますか。

A. URLの切り方で回避できる話ではありません。公開された判定基準は、見せ方、品質の差、著者の明示、他サイトとの重複という実際の見え方を見ています。技術的な区分けの方式は条件に入っていません。

Q. 外部ライターに記事を書いてもらうのは違反になりますか。

A. なりません。Googleはサードパーティのコンテンツを使うこと自体は違反ではないと明記しています。問題になるのは、ホストサイトの評価を借りることが主な目的である場合です。編集が内容を確認し、著者と責任を明示していれば編集記事として扱われます。

Q. 手動対策の通知が来ていなければ問題ないと考えてよいですか。

A. 通知がないことは、現時点で人手レビューの対象になっていないことを示すだけです。判定基準は世界的に適用されると明記されており、EEA内では手動対策の影響が適用されない方式にも変わりました。通知の有無を安全の根拠にはできません。

Q. すでに貸している区画があります。すぐ削除すべきですか。

A. 契約が残っている場合、一方的な削除は契約違反になり得ます。まず契約書で即時削除の可否を確認し、同時に該当区画が4つの要素から見てどう評価されるかを点検してください。そのうえで、統合するか終了するかを決める順序になります。

参考情報

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