Googleビジネスプロフィールの電話の減少とは、パフォーマンス画面の「通話数」が前年より下がる現象を指します。2026年に入って米国では通話とウェブサイトのクリックが1割前後減り、その一方でルート(経路リクエスト)が2割増えるという集計が出ています。数字が下がったこと自体は、運用が悪化したことを意味しません。
問題は、その減少が正常な範囲なのか、手を打つべき異常なのかを判定できないことです。指標ごとに数え方が違い、前年同月比で見なければ季節要因と区別できず、電話が減っていてもルートや予約が伸びていれば、失われたのは連絡手段のひとつだけかもしれません。この記事では、2026年9月時点の公式ヘルプと米国の集計を一次情報として、正常な減少と異常の見分け方を手順の形で整理します。
この記事でわかること
- 正常範囲: 通話数はボタンが押された回数で着信数ではなく、前年同月比で見ないと閑散期と区別できません。
- 異常検知: 表示から減ったのか、行動だけ減ったのか、急に落ちたのかで確認する場所が変わります。
- 構造是正: 電話を増やす方向に直すのか、ルート・予約へ寄せるのかを決めてから報告の指標を並べ替えます。
Googleビジネスプロフィールの電話とクリックは、いま何が起きているのか
米国の集計では通話とウェブサイトのクリックが1割前後減り、ルートは2割増えています。
「順位は落ちていないのに電話が鳴らない」という相談は、2025年末ごろから運用の現場で出はじめました。2026年に入ると、その感覚を数字で裏づける集計が米国から出てきます。ここで押さえておきたいのは、減っているのが通話とウェブサイトのクリックだけで、ルートは逆に伸びているという点です。すべての行動が一律に落ちているわけではありません。
米国の集計では通話−11.9%・クリック−12.5%、ルートは+21.1%(2026年Q2)
2026年Q2の前年同期比で、通話は11.9%減、ウェブサイトのクリックは12.5%減、ルートは21.1%増でした。
この数字は、GMBapiが自社で管理する米国のGoogleビジネスプロフィールを集計し、Search Engine Landが2026年9月1日に報じたものです。記事に対象プロフィール数の記載はありません。対象は米国であり、日本の店舗のデータは含まれていません。Q1とQ2を並べると、減り方そのものは緩んでいることが分かります。
| 指標 | 2026年Q1(前年同期比) | 2026年Q2(前年同期比) |
|---|---|---|
| 通話 | −15.8% | −11.9% |
| ウェブサイトのクリック | −15.8% | −12.5% |
| ルート(経路リクエスト) | +31.3% | +21.1% |
| モバイル検索の表示回数 | −20.6% | −20.1% |
| モバイルマップの表示回数 | 記載なし | +30.4% |
| デスクトップマップの表示回数 | −17.9% | +3.2% |
表示回数の動きも一方向ではありません。モバイル検索の表示は2割減っている一方で、モバイルマップの表示は3割増え、デスクトップマップはQ1のマイナスからQ2でプラスに転じています。検索結果ページから入る人が減り、Googleマップの中で店を探して行動を終える人が増えている、という読み方が成り立ちます。
日本で同じことが起きている証拠は、まだ公開されていない
日本の店舗で同じ減少が起きていることを示す公開データは、2026年9月時点で見つかりません。
当社が2026年9月3日にX上の日本語投稿を検索した範囲では、店舗オーナー本人が自分の数字を出して「通話が減った」と報告している例は見つかりませんでした。見つかったのは、2026年3月ごろに米国の調査を紹介する投稿と、2026年8月にGoogleマップの新機能をきっかけとした「マップの中で完結する」という解説です。あくまで一時点の検索結果であり、日本全体の傾向を示すものではありません。
したがって、米国の集計を自店の説明にそのまま当てはめるのは早計です。最初にやることは、他社の平均を探すことではなく、自分のパフォーマンス画面を前年同月と並べることです。
「AIに聞いて決めるから減った」は説であって、仕様ではない
AI経由で店を選ぶから減った、という説明はGoogleの公式仕様として確認できていません。
生成AIの回答で店選びが終わるようになった、という説明は運用者のあいだでよく語られています。ただしGoogleは、AI関連機能の導入によって通話数やウェブサイトのクリックがこれだけ減る、という仕様や数値を公表していません。当社の事例でも、AI経由の来店だけを切り分けて計測できたことはありません。原因の候補として頭に置くのは構いませんが、社内の報告書に断定して書くと、次の打ち手を誤ります。
マップ検索そのものの順位要因を整理していない場合は、「ローカルSEO対策とは?順位を決める3要因とAI時代のやり方」も併せてご覧ください。
減っていても正常なケース|3つの判定軸
減っていても正常な場合があります。判定軸は数え方・前年同月比・チャネルの3つです。
異常かどうかを判定する前に、その数字が何を数えているのか、どの期間と比べているのか、他の行動はどう動いているのかを確認します。この3つを通すだけで、相談の多くは「手を打つ必要がない減少」に分類されます。各指標が何を意味するかを先に確認したい場合は、「Googleビジネスプロフィールのインサイトとは?閲覧数と重要な指標について解説」で定義を確認してください。
通話数は「ボタンが押された回数」で、着信数とは一致しない
通話数はプロフィールの通話ボタンが押された回数で、実際の着信数とは一致しません。
Googleビジネスプロフィール ヘルプは、通話数を「プロフィールの通話ボタンがクリックされた回数」と定義しています。押した後に発信を取りやめた人、話し中で切れた人も、この数字には含まれます。逆に、プロフィールを見て番号を覚え、あとで自分の履歴からかけ直した人は含まれません。
つまり通話数は来店や成約の数ではなく、電話をかけようとした人の数です。店舗側の受電記録と一致しないのは仕様であり、ずれていること自体は異常ではありません。判断に使うのは絶対値ではなく、同じ数え方で並べたときの推移です。
前年同月比で見る(閑散期・営業日数・キャンペーンの有無)
前月比ではなく前年同月比で見ます。季節と営業日数の差がそのまま増減に出ます。
前月と比べると、季節の山と谷がそのまま増減として出ます。飲食店の1月、リフォームの真夏、クリニックの連休明けのように、業種ごとに需要が沈む月があります。さらに、その月の営業日数、臨時休業の有無、前年に打っていたキャンペーンの有無でも数字は動きます。前年同月と比べて同水準なら、それは正常な変動です。どの程度動けば正常かは業種と店舗の規模で変わるため、一律の目安は置けません。
当社の事例では、前月比だけを見て「急落した」と判断された案件の多くが、前年同月比では横ばいでした。比較期間を変えるだけで結論が反転するため、社内の定例で見る期間は先に決めておきます。
ルートや予約が増えているなら、減ったのは連絡手段のほう
ルートや予約が増えているなら、減ったのは電話という手段であって関心ではありません。
電話は、顧客が店に接触する手段のひとつにすぎません。Googleビジネスプロフィールには、通話のほかにルート、予約、ウェブサイトのクリックといった行動の枠があります。予約プロバイダを導入した、地図アプリで道順を調べる習慣が広がった。こうした変化が起きると、顧客の行動は電話から別の枠へ移ります。
そのため、通話の増減だけを見て「集客が落ちた」と結論づけないでください。ただし、これらの指標は数え方も行動の段階も違うので、足し合わせて1つの数字にはできません。枠ごとに前年同月と並べて、どれが減りどれが増えたかを見ます。GA4でまとめて見たい場合の手順は「GoogleビジネスプロフィールとGA4連携でできること」にまとめています。
異常を疑う3つのパターンと、確認する順番
表示から減ったのか、行動だけ減ったのか、急に落ちたのかで確認先が変わります。
3つの判定軸を通してもなお説明がつかない場合は、異常を疑います。ここで大事なのは、いきなり写真や口コミに手を付けないことです。先に表示回数を見て、減っているのが「見られる回数」なのか「見た人が動く割合」なのかを分けます。
パターン1:表示回数から減っている(順位・エリアの問題)
表示回数が先に減っているなら、まず疑うのは順位と表示エリアで、写真ではありません。
見られる回数そのものが落ちていれば、そこから発生する通話が減るのは当然です。この場合に写真を追加しても、見られる回数は戻りません。確認するのは、狙っているキーワードでの掲載順位と、どのエリアの検索で表示されているかです。なお、カテゴリの誤りや営業時間の設定も表示機会に影響するため、プロフィール側の設定を候補から外し切ることはできません。近隣に競合が新規開業した、店舗の営業時間を変えた、といった変化が影響していることもあります。
パターン2:表示は横ばいで、行動だけ減っている(プロフィールの問題)
表示が横ばいで行動だけ減っているなら、写真・口コミ・説明文など見え方を疑います。
見られてはいるのに動いてもらえていない状態です。プロフィールを開いた人が、電話をかける前に離脱しています。写真が古い、口コミに未返信が積み上がっている、営業時間が実態と違う、といった箇所が候補になります。口コミの運用は「Googleの口コミ返信が重要な理由と返信例文を紹介」で手順を確認してください。
パターン3:ある日から急に落ちた(停止・重複・情報の自動修正)
ある日を境に急落したときは、プロフィールの停止と情報の自動修正を最初に確認します。
なだらかな下降ではなく、特定の日から数字が段差のように落ちている場合は、運用の巧拙ではなくプロフィール側で何かが起きています。プロフィールが停止されていないか、同じ店舗の重複プロフィールが作られていないか、電話番号やウェブサイトのURLがGoogleによって自動的に書き換えられていないかを見ます。電話番号が別の番号に差し替わっていれば、通話数はその日から落ちます。停止されたときの対処は「Googleビジネスプロフィール停止の原因と復旧・予防策」、勝手に情報が書き換わる現象は「Googleマイビジネスに登録している情報が勝手に変更される理由と対処法」で確認してください。
3つのパターンを、確認する場所と最初の打ち手の形で並べると次のとおりです。
| 症状 | 確認する場所 | 最初の打ち手 |
|---|---|---|
| 表示回数も一緒に減っている | 掲載順位、表示されているエリア、競合の新規開業 | カテゴリと営業時間を見直し、順位を計測しはじめる |
| 表示は横ばいで通話だけ減った | 写真の更新日、未返信の口コミ、説明文 | 写真を差し替え、未返信の口コミに返信する |
| ある日から段差のように落ちた | プロフィールの停止、重複プロフィール、電話番号の自動修正 | 電話番号とURLを実物と照合し、停止なら再審査を申請する |
| 通話は減ったがルートは増えた | ルートと予約それぞれの前年同月比 | 異常として扱わず、報告する指標の並べ方を見直す |
電話を増やすのか、電話以外へ寄せるのか
電話を増やす方向に直すのか、ルートや予約へ寄せるのかを先に決めてから手を打ちます。
切り分けが済んだら、どちらの方向へ直すのかを決めます。予約を電話でしか受けていない店と、Web予約を主にしたい店とでは、打つ手が逆になります。両方を同時に追うと、どちらの数字も動かないまま月が終わります。
電話を増やしたい場合にプロフィールで直せること
電話を増やすなら、電話番号・受付時間・属性の3か所をプロフィール側で埋めます。
まず電話番号が実物と一致しているかを確認します。次に、営業時間とは別に電話の受付時間が異なる場合は、説明文と投稿で明記します。「要予約」「当日受付可」のような属性を設定できる業種では、それも埋めます。電話をかけてよいかどうかが分からない状態は、そのまま離脱につながります。
電話以外へ寄せる場合(ルート・予約・ウェブサイト)
電話以外へ寄せるなら、予約プロバイダを入れてサイト側の問い合わせ導線を整えます。
注意点が2つあります。1つは、パフォーマンス画面の「予約」に数字が入るのは、Googleが対応している予約プロバイダ経由で予約が完了した場合だという点です。自社サイトへのカスタムリンクを置いただけでは、予約数としては計測されません。もう1つは、プロフィール上のチャットで問い合わせを受ける運用がもう使えないことです。Googleビジネスプロフィールのチャットと通話履歴は2024年7月31日に終了しています。営業時間外の受け皿は、サイト側のフォームやLINEなど、プロフィールの外に置く必要があります。いずれにせよ、電話で受けていた要件を別の枠へ移せば、移した分だけ通話数は下がります。通話の減少を成果の悪化として報告しない取り決めを、先に社内で共有しておきます。
通話とルートを同格で見る指標セットに組み替える
通話だけを成果にせず、ルートと予約とサイトを並べて前年同月比で毎月見ます。
通話数だけを報告していると、顧客の行動が別の枠へ移っただけの月に「失敗」と判定してしまいます。米国の集計で通話が減りルートが増えているのは、まさにこの読み違いが起きやすい形です。ただし、指標を足して1つの合計にすると、数え方も行動の段階も違うものを混ぜることになります。並べるだけにして、最終的な良し悪しは店舗側の実績で決めます。
| 行 | 見る数字 | 比較する期間 |
|---|---|---|
| 見られた量 | Google検索とGoogleマップの表示回数 | 前年同月 |
| 通話 | 通話数(ボタンが押された回数) | 前年同月 |
| ルート | ルートのリクエスト数 | 前年同月 |
| 予約・サイト | 予約数(予約プロバイダ経由)、ウェブサイトのクリック | 前年同月 |
| 店側の実績(最終判定) | 受電数・来店数・成約数 | 前年同月 |
通話が前年同月比で減っていても、ルートや予約が同じだけ伸びていれば、それは連絡手段が移ったという事実として報告します。集客そのものが落ちたかどうかは、いちばん下の行、つまり受電数・来店数・成約数で判定します。自社だけで毎月この形に整えるのが難しい場合は、「MEOコンサルティングの費用相場と失敗しない選び方」と「Googleビジネスプロフィール登録代行とは|費用相場と運用代行の違い」で、外部に任せる場合の範囲と費用の目安を確認できます。
Googleビジネスプロフィールの電話が減ったときのよくある質問
電話が減ったときに現場でよく出る4つの疑問に、公式仕様と実測の範囲で答えます。
Q. 通話数が減ったら、すぐに広告を出したほうがよいですか?
A. 先に切り分けてください。表示回数から減っているなら広告で表示を買う判断はあり得ますが、表示が横ばいで行動だけ減っている場合、広告を出しても同じ理由で離脱します。プロフィールの見え方を直すほうが先です。
Q. Googleビジネスプロフィールのチャットで問い合わせを受けられますか?
A. 受けられません。Googleビジネスプロフィールのチャットと通話履歴は2024年7月31日に終了しています。電話以外の受け皿を用意する場合は、予約プロバイダや自社サイトのフォームなど、プロフィールの外に置いてください。
Q. 何か月分そろえば、一時的な変動ではないと判断できますか?
A. 当社の事例では、前年同月比のマイナスが3か月続いた時点で構造的な減少として扱っています。1か月だけの落ち込みは、臨時休業や競合のキャンペーンで簡単に出るため、そこで打ち手を変えないようにしています。
Q. 予約リンクを置けば、予約数はパフォーマンス画面に出ますか?
A. 出るとは限りません。公式ヘルプで予約数として数えられるのは、Googleが対応している予約プロバイダ経由で完了した予約です。自社サイトへのカスタムリンクを置いただけの場合、その先の予約はウェブサイトのクリックにしか反映されません。

