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ホームページ制作費用の勘定科目は?仕訳例と税務の注意点を制作会社が解説

ホームページ制作費用の勘定科目は?仕訳例と税務の注意点を制作会社が解説

ホームページ制作費用の勘定科目とは、サイト制作にかかった費用を会計帳簿に記録する際の分類項目のことです。基本は「広告宣伝費」、EC・予約システムなど高機能なサイトは「無形固定資産(ソフトウェア)」、1年以上更新しない場合は「繰延資産」に分かれます。本記事では制作会社の視点で、仕訳例・見積書の分け方・2026年の税制改正までを整理します。なお、最終的な会計処理は税理士にご確認ください。

この記事でわかること

  • 基本は3パターン: ホームページ制作費用は広告宣伝費・無形固定資産・繰延資産のいずれかに分類され、サイトの機能と更新頻度で決まります。
  • 見積書の分け方が鍵: 制作費を「広告宣伝費にできる部分」と「資産計上が要る開発部分」に分けて記載すると、税務調査リスクを下げられます。
  • 2026年4月の改正に対応: 少額減価償却資産の特例が40万円未満に引き上げられ、一括経費にできる範囲が広がりました。
目次

ホームページ制作費用の勘定科目は3パターン

ホームページ制作費用の勘定科目は、大きく3つのパターンに分かれます。どれになるかは「サイトの機能」と「更新の頻度」で決まります。まずは違いを整理します。

勘定科目該当するケース経費/資産ポイント
広告宣伝費PR目的の通常のサイト(コーポレート・サービス紹介)その年の経費1年以内に更新が前提
無形固定資産(ソフトウェア)EC・予約・会員ログインなど高機能サイト資産(5年で償却)機能開発部分が対象
繰延資産・長期前払費用1年以上まったく更新しないサイト資産(期間で償却)更新しない前提が条件

このうち最も多いのは広告宣伝費です。多くの企業サイトは商品・サービスのPRが目的のため、原則として制作費はその年の経費(広告宣伝費)として一括計上できます。

広告宣伝費になる典型は、コーポレートサイトやサービス紹介サイトなど、情報発信が中心のホームページです。一方、ECサイトや予約システム、会員ログイン機能など「業務を処理する仕組み」を持つサイトは、ソフトウェア=無形固定資産として資産計上し、減価償却していきます。また、制作後1年以上まったく更新しない前提のサイトは、繰延資産または長期前払費用として処理するのが一般的です。

ここで誤解されやすいのが「制作費は必ず資産計上が必要」という思い込みです。実際は逆で、PR目的の通常のサイトは資産計上せず、その年の経費にできるケースのほうが多くなります。(アイダイム分析)制作会社の立場で見ても、相談の多くは「全額その年の経費にできるか」であり、結論は『サイトの目的と機能しだい』です。

Q. ホームページ制作費は全額その年の経費にできますか?

A. PR目的の通常のサイトなら、原則その年の広告宣伝費として全額経費にできます。ただしEC・予約システムなど高機能な部分は資産計上が必要です。

では、同じサイトの中に「経費にできる部分」と「資産計上が要る部分」が混在する場合、どう分ければよいのでしょうか。ここが制作会社ならではの腕の見せどころです。

制作会社が見積書を分ける理由とテクニカル費用の扱い

ホームページの制作費は、1つの見積に「広告宣伝費にできる部分」と「資産計上が必要な部分」が混ざることがよくあります。この切り分けを見積書・請求書の段階でしておくと、後の会計処理がスムーズになり、税務調査での否認リスクも下がります。

制作見積(一式) 広告宣伝費にできる部分デザイン・SEO・テクニカル施策→ その年の経費 資産計上が要る部分予約システム・EC・ログイン開発→ 無形固定資産(5年償却)

具体的には、デザイン・コーディング・SEOや集客にかかわるテクニカル施策は広告宣伝費として整理でき、予約システムやEC機能などの開発部分は無形固定資産(ソフトウェア)として資産計上します。(アイダイム分析)サイトのテクニカル部分は、突き詰めればSEO=集客のための施策であり、広告宣伝としての性格が強いと整理できます。

(実務知見)当社でも制作の見積を作る際、SEOや集客にかかわる工程を「テクニカル費用」として項目を分けて提示することがあります。発注側からこの分け方を聞かれる機会は多くありませんが、項目を分けておくと、経理担当者が「どこまでを広告宣伝費にできて、どこからが資産か」を判断しやすくなります。

特に注意したいのが予約システムやECです。(実務知見)当社の予約システム「エールス」のように、サイトに予約・受付などの業務機能を組み込む場合、その開発部分はソフトウェア=無形固定資産に当たるのが原則です。見積を「サイト制作一式」とまとめてしまうと、本来は経費にできるデザイン費まで資産計上を求められることがあるため、最初から内訳を分けておくのが安全です。

この「分けて見積を出す」という一手間が、税務調査で『広告宣伝費として一括計上したが、実態はシステム開発だった』と指摘されるリスクを下げます。高額なサイトほど効果が大きい工夫です。

📌 集客につながるサイト設計とSEOの考え方はこちらで解説しています。
→ AI時代を勝ち抜くSEO集客戦略:企業サイトが取るべき施策

切り分けの考え方が分かったところで、次は実際の仕訳例を見ていきます。

ホームページ制作費の仕訳例(金額別・借方/貸方)

ここでは、発注した企業側の立場で、代表的な3つのケースの仕訳例を示します。金額は一例です。

ケース借方貸方補足
広告宣伝費(30万円のコーポレートサイト)広告宣伝費 300,000普通預金 300,000その年に全額経費
無形固定資産(予約システム150万円)取得時ソフトウェア 1,500,000普通預金 1,500,000以後5年で減価償却
同上・決算時の減価償却減価償却費 300,000ソフトウェア 300,000年30万円(5年・定額)
手付金(着手金30万円)支払時前払金 300,000普通預金 300,000完成引渡時に振替

広告宣伝費のケースは最もシンプルで、支払った金額をそのまま広告宣伝費に計上します。無形固定資産のケースは、いったんソフトウェアとして資産に計上し、耐用年数5年で毎年均等に減価償却していきます(年30万円×5年)。

3つめの手付金(着手金)は、発注側がよく間違えるポイントです。(実務知見)制作の現場でも、手付金の処理を誤解しているケースをよく見かけます。手付金を支払った時点では費用や資産ではなく「前払金」として処理し、サイトが完成・引渡しされたタイミングで広告宣伝費やソフトウェアへ振り替えます。

消費税についても同様で、手付金を支払った時点ではなく、引渡し(役務の提供完了)のタイミングで仕入税額控除を行うのが原則です。「手付には消費税がかからない」のではなく、計上の時期が引渡し時にずれる、と理解すると間違えません。

次に、資産計上になる「高機能サイト」について、減価償却の年数を詳しく見ます。

高機能サイト(EC・予約・会員)は無形固定資産=5年で減価償却

ECサイトや予約システム、会員ログイン機能など、業務を処理する高度な仕組みを持つサイトは、ソフトウェア=無形固定資産として資産計上します。

無形固定資産になったソフトウェアの法定耐用年数は、自社で利用するシステム(ECサイトや予約システム等)の場合は5年です。複写して販売する原本や研究開発用のソフトウェアは3年とされていますが、通常の企業サイトでは5年と覚えておけば十分です。資産計上した金額を、5年かけて定額法で減価償却していきます。

(実務知見)予約機能を組み込むサイトは、まさにこの無形固定資産の典型例です。当社の予約システム「エールス」のような業務機能は、単なる情報発信ではなく『継続的に業務を回す仕組み』のため、原則として資産計上の対象になります。デザインやコンテンツと違い、機能開発の部分は経費で一括処理できない、という点は発注前に押さえておきたいところです。

どこまでが「高機能」で資産計上が必要なのか、線引きが難しいケースもあります。判断に迷う場合は、見積書を機能ごとに分けてもらい、その内訳を添えて税理士に相談するのが確実です。

Q. 予約システムを入れたら制作費は全部資産計上ですか?

A. いいえ。資産計上が必要なのは予約・EC等の機能開発部分です。デザインやSEOなどの部分は広告宣伝費にできるため、見積を分けるのが有利です。

既存サイトのリニューアルや改修の費用は、また少し扱いが異なります。

リニューアル・改修費は「資本的支出」か「修繕費」か

すでにあるサイトをリニューアル・改修したときの費用は、「資本的支出(資産計上)」と「修繕費(その年の経費)」のどちらになるかで処理が変わります。

(アイダイム分析)ここでよくある誤解が、「リニューアルは修正だから全額その年の経費で落とせる」という思い込みです。実際は、改修の内容しだいで資産計上が必要になります。

新機能追加・機能向上か? いいえ(現状維持・20万円未満)修繕費=その年の経費 はい(新機能追加・機能向上)資本的支出=資産・5年償却

判定の基本は、新しい機能の追加やサイトの機能向上にあたる改修は「資本的支出」として資産計上し、見た目の調整やバグ修正など現状維持にとどまる改修は「修繕費」としてその年の経費にできる、という線引きです。金額の目安として、1回の改修費が20万円未満であれば、修繕費として処理できるとされています。

たとえば、デザインの微調整やテキスト更新は修繕費(経費)、予約機能やEC機能を新たに追加するリニューアルは資本的支出(資産)になりやすい、というイメージです。同じ「リニューアル」でも中身で扱いが分かれるため、改修の内容を見積段階で具体的に把握しておくことが大切です。

改修・リニューアルの進め方やSEO上の注意点は「ホームページ改修とは?リニューアルとの違い・費用・SEO注意点を解説【2026年】」で詳しく解説しています。

Q. リニューアル費用は全額経費で落とせますか?

A. 内容によります。現状維持の軽微な改修や20万円未満の支出は修繕費として経費にできますが、新機能追加など機能向上を伴う改修は資本的支出として資産計上が必要です。

ここまでは制作費そのものでしたが、サイト運営にはドメインやサーバーなどの関連費用も発生します。

関連費用(ドメイン・サーバー・SEO・SSL・運用保守)の勘定科目

ホームページの制作費以外にも、運営にはさまざまな費用がかかります。それぞれ性質に応じて勘定科目が分かれます。

費用項目主な勘定科目補足
ドメイン取得・更新通信費/広告宣伝費/支払手数料毎年同じ科目で統一
サーバー・ホスティング通信費/広告宣伝費レンタルは通信費が一般的
コンテンツ制作(記事・動画)広告宣伝費高機能部分は無形固定資産
SEO対策(外注)広告宣伝費ツール導入はソフトウェア
SSL証明書通信費/広告宣伝費/支払手数料高額は資産計上も
運用保守広告宣伝費/保守費障害対応は修繕費等

ポイントはSEO対策の外注費です。外部のSEO会社に支払う費用は、集客=広告宣伝の性格が強いため、原則として広告宣伝費に計上できます。ただし、SEO分析ツールを自社で導入する場合は、ソフトウェアとして処理するケースもあります。ドメインやサーバーは通信費・広告宣伝費・支払手数料のいずれか、SSL証明書は通信費などで処理するのが一般的です。一度決めた勘定科目は、毎年同じものを使い続けるのが原則です。

広告宣伝費で処理する条件と少額減価償却資産の特例【2026年4月〜40万円未満】

制作費を広告宣伝費として処理するには、前提条件があります。それは「1年以内に更新すること」です。ニュースの追加やコンテンツ更新など、1年に1回でも更新していれば広告宣伝費として処理でき、1年以上まったく更新しない場合は繰延資産・長期前払費用として扱います。

資産計上が必要なソフトウェアでも、金額が小さければ一括で経費にできる特例があります。青色申告書を提出する中小企業者等が使える「少額減価償却資産の特例」です。

この特例は2026年4月1日(令和8年4月1日)から内容が変わりました。即時償却できる取得価額の上限が、これまでの30万円未満から40万円未満に引き上げられています。あわせて、対象となる事業者は常時使用する従業員が400人以下(改正前は500人以下)に見直され、年間合計300万円までという上限と、令和11年3月31日までという適用期限が設定されています。ソフトウェアなどの無形固定資産も対象に含まれるため、予約システムやEC機能の開発費が40万円未満であれば、その年に全額経費にできる可能性があります。

このほか、ITツールの導入費用を補助する「デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)」を活用できる場合もあります。会計・受発注・決済ソフトなどが対象で、補助上限は申請枠によって異なります。※補助金は年度ごとに要件・名称が変わるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

ホームページ制作費の経理処理に関するよくある質問

最後に、検索でよく調べられる疑問をまとめます。

Q. ホームページ制作費は資産計上が必要ですか?

A. 必須ではありません。PR目的の通常のサイトは広告宣伝費として経費にでき、EC・予約システムなど高機能なサイトのみ無形固定資産として資産計上します。

Q. Web制作費は修繕費になりますか?

A. 新規制作は修繕費にはなりません。修繕費が使えるのは、既存サイトの現状維持にとどまる改修や、20万円未満の軽微な改修の場合です。

Q. ソフトウェアの耐用年数は何年ですか?

A. 自社で利用するECサイトや予約システムなどのソフトウェアは5年です。複写販売用の原本や研究開発用は3年とされています。

Q. ホームページ制作の手付金に消費税はかかりますか?

A. 手付金も課税対象です。ただし消費税(仕入税額控除)を計上するのは支払時点ではなく、サイトの完成・引渡し時になります。

参考情報

  • 国税庁「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」
  • 国税庁「No.1379 修繕費とならないものの判定」
  • 中小企業庁「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
  • 中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026」

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